アプライド マテリアルズ DRAM スケーリングに向けたマテリアルズ エンジニアリング ソリューションを発表

  

報道資料
2021 年5 月7 日
(日本時間)

  • 新しいハードマスク材料Draco™をエッチング装置Sym3® Y に協調最適化することによ り、DRAM キャパシタのスケーリングを加速
  • アプライド マテリアルズが先駆的に開発したLow-k 絶縁材料Black Diamond®を DRAM に応用することで、周辺ロジックにおける配線スケーリング課題が克服可能に
  • 先端DRAM への採用が進むHigh-k メタルゲートトランジスタは性能と消費電力の向上 および周辺ロジックの微細化を支え、面積あたりコストを改善

アプライド マテリアルズ(Applied Materials, Inc., Nasdaq:AMAT、本社:米国カリフォ ルニア州サンタクララ、社長兼CEO ゲイリー・E・ディッカーソン)は5 月5 日(現地時 間)、メモリ業界のお客様に向けて、DRAM のさらなるスケーリングとチップのPPACt(性 能、消費電力、面積あたりコスト、市場投入までの期間)改善を3 つの新しい手法で加速す るマテリアルズ エンジニアリング ソリューションを発表しました。

グローバル経済におけるデジタル革命は、DRAM への記録的な需要の伸びをもたらしていま す。IoT は何千億個もの新しいエッジデバイスを生み出しており、そこからクラウド処理の ため送信されるデータは指数関数的に増大しています。これを受けて業界では、DRAM の面 積あたりコスト削減に向けたスケーリングを可能にしながら、処理の高速化と消費電力の低 減化をもたらすブレークスルーが緊急に求められています。

アプライド マテリアルズはDRAM 分野のお客様との協働により、微細化、性能向上、消費 電力低減を実現する3 つの新しいマテリアルズ エンジニアリング ソリューションの製品化 を進めています。各ソリューションはDRAM の3 分野、すなわちストレージキャパシタ、 インターコネクト配線、ロジックトランジスタに焦点を置いています。これらのソリューシ ョンは量産立ち上げ段階にあり、今後数年間でアプライド マテリアルズのDRAM 関連の売 上を大幅に押し上げると見込まれています。

キャパシタスケーリング用の新ハードマスクDraco™

DRAM チップではダイ面積の55%以上がメモリアレイで占められ、メモリセルの高密度化 はビット当たりコストを引き下げる最大の鍵となります。データは、垂直に並ぶ微細な円柱 形のキャパシタ(コンデンサ)に電荷として保存されます。十分な電子数を蓄積するには、 キャパシタの表面積をできるだけ大きくする必要があります。DRAM メーカーはキャパシタ 孔の径を狭めながらも、孔の長さを伸ばして表面積の最大化を図っていますが、その結果 DRAM スケーリングに新たな技術課題が出現しました。エッチングによって深いキャパシタ 孔を形成しようとすると、キャパシタ孔のパターンを転写したハードマスク材料がステンシ ルマスクとして機能する限界を超えてエッチングされる恐れがあります。もしこのハードマ スク材料がエッチングされ消失すると、キャパシタ孔のパターン形状が崩れます。一方、ハ ードマスクを厚くすることは実用的ではありません。その厚みがキャパシタ孔の高さに加わ るので、ある限度を超えるとエッチング副生成物が残留しやすくなり、孔の曲がりやねじ れ、深さのばらつきなどを引き起こすからです。

アプライド マテリアルズのソリューションは、新しいハードマスク材料Draco™です。この 材料はアプライド マテリアルズのエッチング装置Sym3® Y と合わせて使えるよう協調最適 化されており、このプロセスをアプライド マテリアルズの電子ビーム測定・検査装置 PROVision® でモニターすることにより、毎時50 万回近い計測を行うことが可能です。 Draco ハードマスクはエッチング選択性を30%以上高めるため、マスクの膜厚をより薄くす ることが可能です。Draco とSym3 Y の協調最適化は、高度なRF パルスにより、エッチン グと副生成物除去を同期させ、まっすぐで均一な正円柱形のパターン孔の形成を可能にしま す。PROVision は、キャパシタの均一性を左右するハードマスクのCD 均一性に関して、即 時実行性のあるデータを大量に生成します。アプライド マテリアルズのソリューションは局 所的なCD ばらつきを50%改善し、ブリッジ欠陥を100 分の1 に低減してお客様の歩留ま り向上を実現します。

アプライド マテリアルズのセミコンダクタ プロダクトグループでグループバイスプレジデ ントのラマン・アチュタラマン(Raman Achutharaman)は、「お客様が抱えるマテリアル ズ エンジニアリングの課題を迅速に解決するベストの方法は、前後の工程を協調最適化し、 大量の計測データとAI を用いてプロセス変数を最適化することです」と述べています。

Low-k 絶縁膜Black Diamond®をDRAM 市場に投入

DRAM スケーリングの第2 の鍵は、メモリアレイと信号をやり取りする配線の占有面積を縮 小することです。こうした金属配線はどれも絶縁材料で覆われていますが、DRAM メーカー は過去25 年にわたって、絶縁材料にシランないしテトラエトキシシラン(TEOS)のいずれ かのシリコン酸化物を用いてきました。配線層を縮小化することでDRAM のダイサイズも 小さくなりましたが、新たな技術課題も生まれています。配線層間膜が薄くなりすぎて金属 線の容量性カップリングを防ぎきれなくなり、信号が相互干渉を起こして消費電力増、低速 化、発熱増大、信頼性低下などのリスクを招いているからです。

この問題を解決するのがBlack Diamond®です。これは最初、先端ロジックデバイスで採用 されたLow-k 絶縁材料です。DRAM のデザインがロジックデバイス同様のスケーリング課 題に直面しつつある今、アプライド マテリアルズはBlack Diamond をDRAM 市場に展開 し、高生産性プラットフォームProducer® GT 上でこれを提供しています。DRAM 用の Black Diamond は、より微細でコンパクトなインターコネクト配線を実現するので、信号が チップ内を数ギガヘルツの速度で行き来しても干渉が起きず、消費電力も低く抑えます。

High-k メタルゲートトランジスタでDRAM のPPAC を改善

DRAM スケーリングの第3 の鍵は、周辺ロジック回路に用いられるトランジスタの性能、消 費電力、面積あたりコストを改善してI/O(入出力)操作を強化し、新しいDDR5 規格など に沿った高性能DRAM のニーズに応えることです。

ポリシリコン酸化膜ベースのトランジスタは現在もDRAM に使われていますが、ファウン ドリ・ロジックでは28nm ノードまでに徐々に姿を消しています。その理由は、ゲート絶縁 膜がきわめて薄くなると電子リークが生じやすくなり、無駄な電力消費が発生して性能も頭 打ちとなるからです。ロジックメーカーが代わりに採用したHigh-k メタルゲート (HKMG)トランジスタは、ポリシリコンに代えてメタルゲートを利用するほか、絶縁膜に はゲート容量、リーク、性能の改善をもたらす酸化ハフニウムを採用しています。今日では メモリメーカーもHKMG トランジスタを先進的なDRAM 設計に組み入れ、性能、消費電 力、面積あたりコストの向上を図ろうとしています。ロジックと同様DRAM でも、いずれ ポリシリコントランジスタに代わってHKMG が増えてくると見られます。

DRAM におけるこの技術転換は、アプライド マテリアルズに成長の機会をもたらします。 HKMG の材料スタックはより複雑かつ繊細で、製造が難しいため、アプライド マテリアル ズのEndura® Avenir™ RFPVD を利用して前後の工程を真空内で処理するソリューション が業界ではよく使用されています。また、HKMG トランジスタの特性を詳細にチューニン グして性能を最適化する際には、アプライド マテリアルズのCentura® RP Epi をはじめと するエピタキシャル成長装置や、RadOx™ RTP、 Radiance® RTP およびDPN などの薄膜 処理装置が効果を発揮します。

「Draco ハードマスクとLow-k 絶縁膜Black Diamond は主要なDRAM メーカーに採用さ れており、初のHKMG DRAM の導入も始まっています。今後数年間にこうしたDRAM 技 術の転換が進めば、アプライド マテリアルズには数十億ドル規模の売上増が見込まれるでし ょう」とアチュタラマンは付け加えています。

こうしたテクノロジーの成長見通しに関する追加情報は、米国時間5 月5 日にアプライド マテリアルズが開催した2021 Memory Master Class で説明しています。詳細は当社ウェブ サイトの株主・投資家向け情報ページ(https://ir.appliedmaterials.com)をご参照くださ い。

将来予想に関する記述について

本プレスリリースには、当社の売上・事業・市場に関する成長予測とトレンド、業界見通し と需要拡大要因、テクノロジーの遷移、新製品とテクノロジーなど、将来の見通しに関する 記述や、過去の事実には該当しないその他の記述が含まれています。こうした記述やその前 提をなす仮定はリスクや不確定要素に左右され、将来のパフォーマンスを保証するものでは ありません。こうした記述が明示ないし黙示する帰結と実際の結果の間に著しい違いをもた らし得る要因は、当社が証券取引委員会(SEC)に提出する書類(最新のForm 10-Q およ び8-K 報告書を含む)に記載されています。将来の見通しに関する記述はすべて現時点にお ける経営陣の推定、予測、仮定に基づくものです。アプライド マテリアルズは将来の見通し に関する記述を更新する義務を負っておりません。

アプライド マテリアルズ(Nasdaq: AMAT)は、マテリアルズ エンジニアリングのソリュ ーションを提供するリーダーとして、世界中のほぼ全ての半導体チップや先進ディスプレイ の製造に寄与します。原子レベルのマテリアル制御を産業規模で実現する専門知識により、 お客様が可能性を現実に変えるのを支援します。アプライド マテリアルズはイノベーション を通じて未来をひらく技術を可能にします。

詳しい情報はホームページ:http://www.appliedmaterials.com でもご覧いただけます。

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このリリースは5 月5 日米国においてアプライド マテリアルズが行った英文プレスリリースをアプライド マテリアルズ ジャパン株式会社が翻訳の上、発表するものです。

アプライド マテリアルズ ジャパン株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:中尾 均)は1979 年10 月に設立。大阪支店、川崎オフィスのほか16 のサービスセンターを置き、日本の顧客へのサポート体 制を整えています。

このリリースに関する詳しいお問い合わせは下記へ
アプライド マテリアルズ ジャパン株式会社 広報担当 (Tel: 03-6812-6801)
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May 07, 2021