アプライドマテリアルズ電子ビーム描画技術のブレークスルーで 世界最先端コンピュータチップの開発を加速

 

報道資料
2022年12月19日
(日本時間)

 

  • 最新の「コールドフィールドエミッション(CFE)」技術は室温で機能し、ナノスケールの解像度を最大50%、描画速度を最大10倍向上
  • CFE電子ビーム技術により、主要半導体メーカー各社は新しい3D Gate-All-Aroundロジックトランジスタや次世代DRAMおよびNANDメモリチップ等のより迅速な開発・実用化が可能に
  • CFE電子ビーム技術の新製品2種を投入:欠陥レビュー装置SEMVision® G10と欠陥検査装置PrimeVision® 10により電子ビームプロセス診断・制御市場でのリーダーシップを拡大

アプライドマテリアルズ(Applied Materials, Inc., Nasdaq:AMAT、本社:米国カリフォルニア州サンタクララ、社長兼CEOゲイリー・E・ディッカーソン)は12月14日(現地時間)、「コールドフィールドエミッション(cold field emission: CFE)」技術を実用化したことを発表しました。この画期的な電子ビーム描画技術では、ナノスケールの埋没欠陥をよりよく検出・描画できるため、次世代のGate-All-Around(GAA)ロジックチップや高密度DRAM、3D NANDといったメモリチップの開発と生産が迅速化します。

光学装置では見えない微細な欠陥の検出・分類に、半導体メーカーは電子ビーム(eBeam)技術を利用しています。各社がEUVリソグラフィにより2DロジックやDRAMスケーリングの限界に挑み、さらにGAAロジックトランジスタや3D NANDメモリといった複雑な3Dアーキテクチャへの移行を進める中で、表面欠陥や埋没欠陥の発見は困難の度を増しています。電子ビーム描画技術のブレークスルーによって解像度と速度が大幅に向上すれば、チップ開発が加速するだけでなく、電子ビーム技術の利用が量産にも広がると期待されます。

コールドフィールドエミッション(CFE):次世代の電子ビーム技術

従来の電子ビーム装置に用いられてきたサーマルフィールドエミッション(thermal field emission: TFE)は、動作温度が1,500°C以上と高いため、常温で機能するCFE電子ビーム技術の実用化に向けた研究が数十年前から行われてきました。温度が低いほどビームが狭まり照射する電子が密になるので、サブナノメートルレベルの解像度と従来の10倍の高速描画が 実現します。しかし、これまでのCFE技術は安定性を欠き、実用で使えるアプリケーションに適していませんでした。装置内の不純物が電子ビームエミッタに蓄積して電子の流れを鈍化させてしまう、という問題があったからです。これに対しTFE装置では、不純物を自動的に除去する仕組みが設けられています。そこでアプライドマテリアルズはCFE電子ビーム装置の量産を実現する2つのブレークスルーを導入しました。

  • 極高真空電子ビームカラム:アプライドマテリアルズが独自開発した電子ビームカラムには、電子ビームエミッタとその他重要なコンポーネントが収められています。この新しいCFEカラムでは、極高真空の動作環境と特別に開発されたチャンバ材料を併用して汚染物質を大幅に減少させています。特殊なポンプで生成される1x10-11ミリバール以下の真空圧は、TFE装置のそれより2桁ないし3桁低く、ほぼ宇宙空間の真空状態に匹敵します。
  • 新導入のセルフクリーニングモード:極高真空下でも、電子ビームカラム内にはわずかな量の残留ガスが生成され、電子ビームソースの先端に原子が1個でも付着すると、電子の放出が部分的にブロックされて動作が不安定になります。アプライドマテリアルズは周期的セルフクリーニングプロセスを開発し、CFEソースから汚染物質を継続的に除去することで、安定した再現性のあるパフォーマンスを実現しています。

アプライドマテリアルズのイメージング&プロセスコントロール担当グループバイスプレジデント、キース・ウェルズ(Keith Wells)は次のように述べています。「CFEの実用化は、電子ビーム描画技術に数十年ぶりの大きな進歩をもたらしました。業界最高の解像度と電子密度を備えた当社の新しいCFE技術により、半導体メーカーはこれまで見えなかった欠陥を迅速に検出・描画できるようになります」

SEMVision® G10とPrimeVision® 10を投入

アプライドマテリアルズは本日、CFE技術に基づく初の電子ビーム装置2種を投入しました。

欠陥レビュー装置SEMVision G10:アプライドマテリアルズのSEMVision製品群は、世界的に最も普及している電子ビーム欠陥レビュー装置であり、半導体チップの微細欠陥を画像化することで、プロセス開発と量産に影響を及ぼす問題点の解明を支援しています。新しいSEMVision G10は、CFE技術によ   りサブナノメートルの解像度と従来の当社最高機種の最大3倍(当社比)にあたる描画速度を実現しています。SEMVision G10は、GAAを製造するあらゆるお客さまからプロセス開発ツールとして採用されており、すでに売上高は4億ドルを超えています。主要メモリメーカーも、DRAMやNANDにおける新たなプロセスノードの開発、および既存のメモリノードでの量産確保に向けて本機を採用しています。

欠陥検査装置PrimeVision 10:アプライドマテリアルズの電子ビーム製品ポートフォリオに新たに加わったPrimeVision 10は、ナノメートル単位の解像度でウェーハ表面の微細欠陥を検出する機能に加え、3D GAA構造や高アスペクト比メモリデバイスの歩留まりにかかわる埋没欠陥の3D検出技術を備えています。高い電子ビーム密度を備えたPrimeVision 10は、TFEベースの電子ビーム検査装置に比べ最大10倍速く高解像度の画像を生成することができます。

アプライドマテリアルズはプロセス制御業界において電子ビーム装置のトップサプライヤーとなり、2021年の売上高は10億ドル以上、電子ビーム装置での市場シェアは50%以上*でした。

アプライドマテリアルズのCFE技術と新装置に関する追加情報は、当社が12月14日(米国時間)に開催した“eBeam Technology and Product Launch”(電子ビーム技術および製品発表)マスタークラスをご参照ください。

アプライドマテリアルズ(Nasdaq: AMAT)は、マテリアルズエンジニアリングのソリューションを提供するリーダーとして、世界中のほぼ全ての半導体チップや先進ディスプレイの製造に寄与します。原子レベルのマテリアル制御を産業規模で実現する専門知識により、お客さまが可能性を現実に変えるのを支援します。アプライドマテリアルズはイノベーションを通じてよりよい未来を可能にします。

詳しい情報はホームページwww.appliedmaterials.com でもご覧いただけます。

* 出典:TechInsights, 2022年4月

このリリースは12月14日、米国においてアプライドマテリアルズが行った英文プレスリリースをアプライドマテリアルズジャパン株式会社が翻訳の上、発表するものです。

アプライドマテリアルズジャパン株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:中尾均)は1979年10月に設立。大阪支店、川崎オフィスのほか15のサービスセンターを置き、日本の顧客へのサポート体制を整えています。

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